FC2ブログ
2019-05-22

甘桔湯⑧・成方切用・巻8下・瀉火門

除甘草,加枳壳,名枳桔汤,治胸中痞塞,噫气吐酸,或咳;
甘草を除き,枳殻を加へ,枳桔湯と名づく,胸中痞塞,噫気
(噫気:噯气)吐酸,或ひは咳を治す;

(枳壳、桔梗苦下气而散痞,寒消热而除咳。
(枳殻、桔梗は苦にて気を下して痞を散ず,寒し熱消へて咳は除かる。

《活人》云:伤寒应发汗,反下之,遂成痞,枳实理中丸最良。
《活人》に云ふ:傷寒は発汗に応じ,反て之を下し,遂に痞と成る,枳実理中丸にて最も良し。

审知是痞,先用枳桔汤尤妙。
審ツマビラカに是痞を知り,先ず枳桔湯を用ふるが尤も妙なり。

缘桔梗、枳壳行气下膈也。)
桔梗、枳殻に縁ヨり行気下膈するなり。)
2019-05-21

甘桔湯⑦・成方切用・巻8下・瀉火門

(肺属金,主音,金空则有声,风痰壅塞,则不能言。
(肺は金に属し,音オンを主る,金が空ならば則ち声有り,風痰にて壅塞せば,則ち言ふ能はず。

诃子敛肺清痰,散逆破结;
訶子は斂肺清痰し,逆を散じ破結す;

桔梗利肺气;
桔梗は肺気を利す;

甘草和元气;
甘草は元気を和す;

童便降火润肺。
童便は降火潤肺す。

或加木通,以利机窍也。
或ひは木通を加へ,以て機竅を利すなり。

足少阴肾脉挟舌本,足太阴脾脉连舌本,手少阴心别脉系舌本。
足の少陰腎脈は舌本を挟み,足の太陰脾脈は舌本を連ツラナる,手の少陰心別脈は舌本に系る。

三经虚,则痰涎塞其脉道,舌不转运而不能言。
三経虚さば,則ち痰涎は其の脈道を塞フサぎ,舌は転運せずして言ふ能はず。

或三脉亡血,舌无血荣养而喑。
或ひは三脈亡血し,舌に血の栄養無くして瘖す。(喑=瘖yin:唖、失音)

舌喑者,中风不能转运之类,而咽喉声音如故。
舌瘖の者は,中風にて転運する能はずの類にして,咽喉の声音は故の如し。

喉喑者,劳嗽失音之类,而舌本则能转运言语也。)
喉瘖の者は,労嗽失音の類にして,舌本は則ち能く転運し語を言ふなり。)
2019-05-20

甘桔湯⑥・成方切用・巻8下・瀉火門

除桔梗,名甘草汤(金匮),治同;
桔梗を除き,甘草湯
(金匱)と名づく,治は同じ;

加防风,名甘桔防风汤,治同;
防風を加へ,甘桔防風湯と名づく,治は同じ;

加防风、荆芥、连翘,名如圣汤
(宋仁宗),治上焦风热;
防風、荊芥、連翹を加へ,如聖湯
(宋仁宗)と名づく,上焦の風熱を治す;

加诃子,和童便服,名诃子清音汤,治中风不语;
訶子を加へ,童便と和して服す,訶子清音湯と名づく,中風にて語ハナせずを治す;
2019-05-19

成方切用の訂正

 ひたち漢研にて附子瀉心湯の処方解説(成方切用)を訓読していたら、会員より訓読が間違えているのではと指摘があった。

よくみたら、「之」をイクという動詞に読んでしまっていた。「之」は述語の対象語(主語)である。「下」は動詞で読まなければ前後関係の意味が通じない。

 「附子瀉心湯③・成方切用・巻8下・瀉火門」(H31.4.24UP分)
誤り
《经》又曰:本以下之,故心下痞,与泻心汤,痞不解,口渴而烦躁,小便不利者,五苓散主之,此有停饮故也。
《経》に又た曰く:本は下へ之イくを以て,故に心下痞し,瀉心湯を与へ,痞は解せず,口渇して煩躁し,小便不利の者は,五苓散之を主る,此れ停飲有るが故なり。

李东垣曰:酒积杂病,下之太过,亦作痞伤。
李東垣曰く:酒積の雑病,下は太過に之イき,亦た痞傷を作ナす。

盖下多亡阴,阴者,脾胃水谷之阴也。
蓋し下は亡陰多し,陰なる者は,脾胃水谷の陰なり。

訂正後
《经》又曰:本以下之,故心下痞,与泻心汤,痞不解,口渴而烦躁,小便不利者,五苓散主之,此有停饮故也。
《経》に又た曰く:本は之を下すを以て,故に心下痞し,瀉心湯を与へ,痞は解せず,口渇して煩躁し,小便不利の者は,五苓散之を主る,此れ停飲有るが故なり。

李东垣曰:酒积杂病,下之太过,亦作痞伤。
李東垣曰く:酒積の雑病,之を下し太過,亦た痞傷を作ナす。

盖下多亡阴,阴者,脾胃水谷之阴也。
蓋ソモそも下すこと多きは亡陰し,陰なる者は,脾胃水谷の陰なり。

 間違いを指摘できるようになったのは嬉しい。今度訓読を宿題としてやらせてみようかな。自分でやると今まで配布した工具書類が生きてくるだろう。
2019-05-19

甘桔湯⑤・成方切用・巻8下・瀉火門

《外台秘要》 曰:五脏之尊,心虽为主,而肺居其上,肺为华盖,下覆四脏,合天之德,通达风气,性爱温而恶寒。
《外台秘要》に 曰く:五臓の尊は,心が主と為すと雖も,而も肺は其の上に居り,肺は華蓋と為し,下の四臓を覆ふ,天の徳を合せ,風気を通達す,性サガは温を愛し而るに寒を悪イむ。

心火更炎,上蒸其肺,金被火伤,则叶萎,倚着于肝,肝发痒则嗽。
心火が更に炎し,上ノボり其の肺を蒸さば,金は火傷を被ウけ,則ち葉萎し,肝に倚着す,肝は癢を発して則ち嗽す。

因心肝虚弱,不能传阳于下焦,遂至正阳俱跻,变成嗽矣。
心肝の虚弱に因り,不陽は下焦に伝はる能はず,遂に正陽倶に躋ノボるに至り,変じて嗽と成るや。

肺主皮毛,遇寒则栗而粟起。
肺は皮毛を主り,寒に遇へば則ち栗フルエて粟起ゾッキす。

肺嗽因萎,倚着于肝而成病,由木能扣金兴鸣也。
肺嗽は萎に因り,肝に倚着して病むと成る,木由ヨり能く金の興鳴を扣タタくなり也。

先养肺,抑心肝虚热,和其肾,则愈矣。)
先ず肺を養ひ,心肝の虚熱を抑へ,其の腎を和し,則ち愈ゆや。)
2019-05-18

甘桔湯④・成方切用・巻8下・瀉火門

(《金匮》曰:咳而胸满振寒,咽干不渴,时出浊唾腥臭,为肺痈,此汤主之。
(《金匱》に曰く:咳して胸満振寒し,咽乾き渇せず,時に濁唾腥臭を出し,肺癰と為す,此の湯之を主る。

喻嘉言曰:此上提之法。
喩嘉言曰く:此れ上提の法なり。

乘其新起,提其败血,或从唾出,或从便出,足以杀其毒。
其の新起に乗じ,其の敗血を提アげ,或ひは唾ツバより出だし,或ひは便より出だす,其の毒を殺すを以て足タる。

此因胸满振寒不渴,病尚在表,用此开提肺气。
此れ胸満振寒し渇せざるに因りて,病尚ほ表に在り,此を用ひて肺気を開提す。

若势已入里,又当引之从胃入肠,此法不中用矣。
若し勢ひて已スデに裏に入り,又た当に之に引きて胃より腸に入るべき,此の法は用ふるに中アタらずや(この法は役に立たない)。

《纲目》曰:喉痹恶寒,为寒闭于外,热郁于内。
《綱目》に曰く:喉痺悪寒は,外より寒閉し,内に熱欝すと為す。

忌用胆矾等剂点喉,使阳郁不得伸。
胆礬等の剤を喉に点し用ふるを忌イむ,陽郁をして伸びるを得させず。

又忌硝黄等寒剂下之,使阳邪陷里。
又た硝黄等の寒剤にて之を下すを忌む,陽邪をして裏に陥オトさしむ。

宜用表药,提其气升,以助阳也。
宜しく表薬を用ひ,其の気を升ら提テイし,以て陽を助くるなり。

如不恶寒,脉滑实者,又当用寒剂下之,酸剂收之也。
如し悪寒せず,脈滑実なる者は,又た当に寒剤を用ひ之を下し,酸剤にて之を収むるなり。
2019-05-17

甘桔湯③・成方切用・巻8下・瀉火門

甘草甘平,解毒而泻火。
甘草の甘平は,解毒して瀉火す。

桔梗苦辛,清肺而利膈,又能开提气血,表散寒邪,排脓血而补内漏,故治咽痛喉痹,肺痈咳嗽。
桔梗の苦辛は,清肺して膈を利す,又た能く気血を開提し,寒邪を表散す,膿血を排して内なる漏れを補ふ,故に咽痛喉痺,肺癰咳嗽を治す。

取其辛苦散寒,甘平除热也。
其の辛苦を取り散寒し,甘平にて熱を除くなり。
2019-05-16

調理場検査

 あいにくの雨となってしまった。洗車しなくて良かったと思いながら走行した。毎回、道を覚えるために、通ったことのない道を行く。あまり細かい脇道は通りたくないので、広い通りを走行した。

最近、新しい道ができて気になっていた通りを走行してみた。石名坂の六号国道坂道の途中から久慈浜方面に下る新しい道路だ。

久慈浜付近は赤羽緑地があったり、高低差があり、住宅も密集しているのでどの道路がどこにつながるのかわかりにくい。

一昔前までは旧市街地だけ覚えておけば良かったのだが、最近は新興住宅がシムシティみたいに乱立している。目標の日立商業高校も遠くから見づらくなっている。

検査予定時間まで少し間があったのでぐるぐると探索した。ナビの地図上では高低差がわかりにくいので時間があるときに実際走行しないと覚えない。

 実は俺は方向音痴がある。都会に出ると東西南北がさっぱりわからない。日立という西に山あり東に海あり、狭い平野には国道が通るという単純な墬形に子供の頃から住んでいたからだろう。常に山と海が見える場所で行動していたからな。

師匠に方向音痴を直すテクニックを教わった。地図をぐるぐる回しては駄目、常に北を上にして、現在地が北以外に向いていても頭の中で回すこと。肝心な目標物は、多数あるチェーン店を目標にしてはいけないと。

通りに名前が付いていれば、それを覚えることだと。もっと他に注意点があるのだろうが、思い込みが強いのがマイナス要因になっているらしい。

 ありゃ検査のことを記載しようとしたが、前話だけで終わってしまった。師匠の講義も前導入の話が半分以上占めてしまうことが多々あったな。
2019-05-16

甘桔湯②・成方切用・巻8下・瀉火門

甘草(二两) 桔梗(一两) 或等分。
甘草
(二両) 桔梗(一両) 或ひは等しく分かつ。

王好古加减法,失音加诃子,声不出加半夏,上气加陈皮;
王好古の加減法は,失音には訶子を加へ,声が出でずんば半夏を加へ,上気には陳皮を加ふ;

涎嗽,加知母、贝母;
涎嗽には,知母、貝母を加ふ;

咳、渴,加五味;
咳、渇には,五味を加ふ;

酒毒,加葛根;
酒毒には,葛根を加ふ;

少气,加人参;
少気には,人参を加ふ;

呕,加半夏、生姜;
嘔すには,半夏、生姜を加ふ;

吐脓血,加紫菀;
膿血を吐すには,紫苑を加ふ;

肺痿,加阿胶;
肺痿には,阿膠を加ふ;

胸膈不利,加枳壳;
胸膈不利には,枳殻を加ふ;

痞满,加枳实;
痞満には,枳実を加ふ;

目赤,加栀子、大黄;
目赤には,梔子、大黄を加ふ;

面肿,加茯苓;
面腫には,茯苓を加ふ;

肤痛,加黄芪;
膚の痛みには,黄蓍を加ふ;

发斑,加荆芥、防风;
発斑には,荊芥、防風を加ふ;

痰毒,加牛蒡子、大黄;
痰毒には,牛蒡子、大黄を加ふ;

不得眠,加栀子。
眠るを得ずには,梔子を加ふ。

2019-05-15

病名に引きずられる方剤

 漢方方剤において厚労省が効能効果を西洋医学の物差しで決めているのは周知の事実だ。メーカーの適応一覧表など見て病名適応に合った方剤を出すのは、弁証を知らない医療者であっても仕方ない。

医師も漢方を理解してきている今日、病名にとらわれないで弁証を理解しその方剤の適応と違う使い方をし始めている。こういった処方を出された場合、薬剤師が意図を理解できない場合が出て来る。

患者に適切な説明ができないのである。当然疑義照会をかけ、大事には至らないないだろう。しかし薬の専門家である薬剤師が薬の使い方を照会するのは」いかがなものか。医師でさえ知らない薬は薬剤師に問い合わせる時代である。

 OTC薬であっても添付文書に矛盾するような説明が多々ある。便秘薬なのに便秘することがあると記載されていたり、下痢止めなのに下痢することもある等々。これらの問い合わせに対しては薬剤師は、作用機序の違いや病理を理解しているので問題無く説明できる。

しかし、漢方弁証を知らないと、効能の病名に引きずられて患者に何て説明してよいかわからなくなる。

最近、乙字湯を出された患者が私は痔は無いと説明を求められた。乙字湯が清熱・昇提・止痒作用が中心となっているとわかれば痔を持ち出さなくとも説明はできる。

また、成分からも説明できる。柴胡と升麻の組み合わせは昇提作用、黄芩と大黄は清熱化湿・瀉下作用、当帰は補血行血、甘草は緩和止血と。

具体的には柴胡と升麻には、直腸縦走筋・肛門挙筋の緊張力を強化して脱出した肛門を復位させる働きがある。そして清熱化湿の黄芩は、大腸下部・骨盤内の充血を除き消炎に働き、それに大黄も消炎・利尿に働き黄芩を補助し、かつ大腸内の糞便を瀉下する働きがある。

当帰は、活血薬で血液循環を促進し、うっ血性腫脹の改善に働き、甘草は肛門括約筋の痙攣を緩解して痛みを除く。大黄と升麻には止血の効果がある。(小太郎漢方処方コンセプトより)

小生が網膜の浮腫炎症に使用している猪苓湯も、中国では眼科によく使われている。いわばひとつの方剤に色々な顔があり、どの顔で使用したのかを理解して患者に説明することが肝要だ。
プロフィール

SEIROU

Author:SEIROU
薬師くすしのブログへようこそ!
昭和26年生まれの卯年。几帳面でだらしのないA型人間。アマチュア無線3級のラジオ老年だった。漢方家。薬剤師。2女1男の子供と5人の孫を持つ。自分の兄弟も同じ姉2人と俺の3人兄弟。
最近両親を亡くし長老になってしまった。
E-mail oosoneseirou@gmail.com

書きこみカレンダー

04 | 2019/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

SEIROU

Author:SEIROU
薬師くすしのブログへようこそ!
昭和26年生まれの卯年。几帳面でだらしのないA型人間。アマチュア無線3級のラジオ老年だった。漢方家。薬剤師。2女1男の子供と5人の孫を持つ。自分の兄弟も同じ姉2人と俺の3人兄弟。
最近両親を亡くし長老になってしまった。
E-mail oosoneseirou@gmail.com